2025年9月24日〜27日、東京ビッグサイトで開催された「SCAJ(Specialty Coffee Association of Japan)」。世界中のコーヒー好きが集まる年に一度の祭典です。私たちオーツミルクラボ編集部も、最新のコーヒートレンドを肌で感じるべく、会場へ足を運びました。
私たちの目的はコーヒーだけではありません。近年、スペシャルティコーヒーの世界で切っても切れない存在となっているのが「オーツミルク」をはじめとする植物性ミルクです。
実はこのイベント、植物性ミルクの最新動向を知る場としても貴重。国内外の有名ブランドから初参戦の新星まで、試飲・展示が行われていました。本記事では、その様子を速報でお届けします。
コーヒーの繊細な風味を最大限に引き出すパートナーとして、どのブランドが注目されているのか?新しい選択肢は登場しているのか?現地の熱気とともにお届けします!
- 定番ブランドから新顔まで、オーツミルクの存在感が年々拡大
- バリスタ向けの「泡立ち」「風味設計」が各社の競争ポイント
- オーツミルク以外の新植物性ミルク(ひよこ豆・麹など)も登場
なぜコーヒーの祭典「SCAJ」でオーツミルクが注目されるのか?
そもそも、なぜコーヒー専門のイベントでオーツミルクがこれほどまでに注目を集めているのでしょうか?その背景には、現代のカフェ文化を象徴する2つの大きな潮流があります。
かつて、カフェラテのミルクといえば牛乳が当たり前でした。その後、豆乳が代替ミルクとして登場しましたが、独特の風味がコーヒーの個性を消してしまうことも。オーツミルクは、クセが少なく、穀物由来の自然な甘みとクリーミーさでコーヒーの風味を邪魔しないため、「第3の選択肢」としてバリスタから絶大な支持を得ています。
乳糖不耐症の方やヴィーガンの方はもちろん、健康や環境への意識から植物性ミルクを選ぶ人が世界的に急増しています。特にオーツ麦は、栽培に必要な水や土地が少なく、環境負荷が低いサステナブルな作物として知られています。美味しさと地球への優しさを両立できる点が、多くの人々の共感を呼んでいるのです。
SCAJ 2025 出展オーツミルク&植物性ミルク 一覧比較表
まずは、今回編集部が注目した4つのブランドを一覧表でご紹介します。それぞれの個性が一目でわかるようにまとめました。
それでは、各ブランドのブースの様子や試飲レビューを詳しく見ていきましょう!
出展していたオーツミルク企業一覧
ブランド名 | Minor Figures (マイナーフィギュアズ) | Ave Natur (アヴェナチュール) | OddlyGood (オッドリィグッド) | Eclipse (エクリプス) | KOJI BARISTA EDITION(こうじ バリスタ エディション) |
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製品画像 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
種類 | オーツミルク | オーツミルク | オーツミルク | ひよこ豆ミルク | 麹ミルク |
原産国 | イギリス | フィンランド | フィンランド | アメリカ | 日本 |
主な特徴 | ・バリスタ向け設計 ・スチームの安定性◎ ・甘さ控えめ | ・日本人の有名バリスタ監修 ・都内カフェでも多数採用 | ・グルテンフリー ・濃厚でクリーミー ・環境配慮パッケージ | ・高タンパク・低脂質 ・クセがなくニュートラル ・サステナブルな原料 | ・国産オーツ麦100% ・米麹由来の自然な甘み ・さらりとした飲み口 |
コーヒーとの相性 | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★★☆ |
甘さ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★★★★ |
コク | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
こんな人におすすめ | ・本格的なラテを家で楽しみたい人 ・コーヒー本来の味を重視する人 | ・フィンランドのデザインが好きな方 | ・濃厚でクリーミーなラテが好きな人 ・グルテンフリーを意識している人 | ・新しい選択肢を試したい人 ・健康と環境を重視する人 | ・自然で優しい甘みが好きな人 ・国産ブランドを応援したい人 |
いずれもカフェシーンに直結するブランドばかり。ここからはブースごとの詳細をレポートします。
出展企業1:Minor Figures(マイナーフィギュアズ)

バリスタ用オーツミルクといえば真っ先に名前が挙がるのがこのブランド。会場でも試飲待ちの列ができていました。泡立ちのきめ細かさはさすがで、カフェラテにした際の「ミルク感」と「豆の香り」のバランスが絶妙です。
新商品として「無糖タイプ」が紹介され、カロリーや糖質を抑えたい層にも対応していました。
ブースの様子と試飲レビュー
ブースでは、イギリスのコーヒーロースターのお豆で作られたオーツミルクラテが提供されており、舌鼓を打つおいしさに誰もが釘付けに。
一口飲むと、その絶妙なバランス感覚に改めて感動します。コーヒーの華やかな香りや繊細な酸味を一切邪魔することなく、それでいてシルクのような滑らかな口当たりと、満足感のあるコクをプラスしてくれるのです。甘さが控えめなので、スペシャルティコーヒーが持つ複雑なフレーバーをダイレクトに感じたい、という方にはまさに最適解と言えるでしょう。
日本のECでは発売されていない、SCAJ限定?の靴下を買いました。可愛すぎ。
担当者に聞いた!マイナーフィギュアズが愛される理由
minor figuresの日本担当の方とお話しさせていただきました。その中で最近の有名ファッションブランドとのコラボレーションの話などお話ししましたが、その多岐にわたるクリエイティブな活動はまさにマイナーフィギュアズらしい「跳び技」のように感じます。
そんな華やかなイベントの裏には、さまざまな企業努力やコーヒー屋さん、バリスタ、ひいては私たち消費者をしっかりと考え行動している企業努力があると感じました。一ファンとして、引き続き彼らの”はばたき”には目が離せません。
出展企業2:Ave Natur(アヴェナチュール)
スペインから初上陸のブランド。ブースはシンプルながらも「オーガニック認証」「無添加」が大きく打ち出されていました。味わいはやや香ばしく、後味はすっきり。カフェだけでなく家庭での料理利用も想定されているとのこと。
注目はパッケージデザイン。環境配慮型の紙パックを採用しており、サステナビリティ意識の高い来場者から支持を集めていました。
出展企業3:OddlyGood(オッドリィグッド)

続いては、フィンランド発の植物性食品ブランド「OddlyGood(オッドリィグッド)」。北欧らしいカラフルで遊び心のあるパッケージとブースデザインが、多くの来場者の足を止めていました。
ブースの様子と試飲レビュー
OddlyGoodのバリスタオーツドリンクは、あのタカナシ乳業さんが販売代理店であることが大きな特徴の一つ。さらに、そのリッチでクリーミーな味わいがバリスタの間で高く評価されています。
実際にラテを試飲してみると、その評判に納得。スチームされたミルクは、驚くほどきめ細やかでベルベットのような舌触りです。口当たりが非常に濃厚で、まるで生クリームを使ったデザートドリンクのような満足感があります。
それでいて、オーツ麦の風味が強すぎず、コーヒーのビターな味わいやコクをしっかりと支えてくれます。深煎りのエスプレッソと合わせると、お互いの長所を引き立て合う最高のペアリングになるでしょう。
日本市場への意気込みと今後の展開
担当者の方と、しばらくオーツミルク談議に花を咲かせていました。本社がフィンランドにあるため、担当者の方は何度もフィンランドへ足を運び、日本に上陸させるためにさまざまな問題をクリアしてきたと話してくださいました。
面白いのは、乳業の会社がオーツミルクを販売するということ。時代の変化をとても感じます。
オーツミルク先進国の北欧・フィンランドでもシェアを大きく取っているOddlyGood。日本でどのようにその輪を広げていくのか、大注目です。
出展企業4:eclipse(エクリプス)

最後に紹介するのは、今回のイベントで最も大きな衝撃を受けたブランド「Eclipse(エクリプス)」です。なんとこの製品、オーツミルクではなく「ひよこ豆」を主原料とした植物性ミルクなのです。
ブースの様子と試飲レビュー
「ひよこ豆のミルク?」と半信半疑でブースを訪れると、多くの人がその味わいに驚きの声を上げていました。 試飲してみると、その驚きは確信に変わります。まず、豆乳のような青臭さや、オーツミルクの穀物感が全くない、驚くほどニュートラルな味わい。ひよこ豆由来のほのかな甘みと自然なコクがありながら、後味は水のようにクリーンです。
ラテにしてもらうと、コーヒーの風味を全く邪魔せず、それでいてミルクとしての役割をきっちりと果たしてくれます。まるで「透明なキャンバス」のように、どんなコーヒーの個性も素直に受け止めてくれる、そんな印象を受けました。
オーツミルクの風味が少し苦手、という方にとって、まさに救世主のような存在になるかもしれません。
出展企業5:KOJI BARISTA EDITION(米糀ミルク)

オーツではなく「米糀(こめこうじ)」を主原料とした植物性ミルク。砂糖は加えず、発酵由来の自然な甘みとコクが特長です。バリスタ用途を想定したフォームの立ちやすさや、ラテアートの描きやすさが推されており、会場でも「ミルクに近い口当たり」といった声が目立ちました。
まとめ:2025年、オーツミルク選びのキーワードは「多様性」と「専門性」
今回のSCAJ 2025を通じて見えてきたのは、植物性ミルク市場のさらなる「多様化」と「専門化」です。
- Minor Figures: コーヒーの風味を最大限に引き出す**「バリスタ特化型」**
- OddlyGood: 満足感を追求した**「濃厚・クリーミー派」**
- Eclipse: 新たな可能性を提示する**「次世代・サステナブル派」**
もはや「オーツミルク」という一つの括りでは語れないほど、各ブランドが独自の哲学と技術で、明確な個性を持った製品を開発しています。
浅煎りのコーヒーにはこのミルク、深煎りにはあのミルク。気分に合わせて、あるいは健康や環境への配慮から。私たち消費者は、自分のライフスタイルや価値観に合わせて、植物性ミルクを自由に選べる、そんな豊かな時代を迎えています。
この記事を読んで、気になるオーツミルクや植物性ミルクは見つかりましたか?ぜひ、お気に入りのカフェで「オーツミルクに変更できますか?」と聞いてみてください。もしかしたら、今日ご紹介したブランドに出会えるかもしれません。
また、各ブランドの公式サイトでは、オンラインストアや取扱店舗の情報を確認できます。いくつかの種類を取り寄せて、自宅で飲み比べパーティーを開いてみるのも最高の体験になるはずです。
コーヒーの世界を、もっと豊かに、もっと楽しく。 その傍らには、いつも個性豊かな植物性ミルクたちがいます。あなただけの最高のパートナーを、ぜひ見つけてみてください。
SCAJとはどんなイベントですか?
SCAJ(スペシャルティコーヒー協会主催の展示会)は、コーヒー業界最大級のイベントです。焙煎機やエスプレッソマシンだけでなく、オーツミルクや代替ミルクの最新情報も得られる場となっています。
今年のSCAJで注目されたオーツミルクは?
定番のMinor Figuresに加えフィンランド発「OddlyGood」、「Ave Natur」などが注目を集めました。また、ひよこ豆を使った「eclipse」も新しい動きとして話題でした。
SCAJで試飲はできますか?
ほとんどのオーツミルクブースで試飲が用意されており、ラテアートやスチーム体験ができる展示もありました。来場者が実際に味や泡立ちを比較できるのが魅力です。
オーツミルクはコーヒー以外にも使えますか?
はい。ラテ以外にもスイーツや料理に取り入れる事例が増えています。特に甘さ控えめタイプは、シリアルやスープとの相性も良いと紹介されていました。
オーツミルク市場の今後の動向は?
無糖タイプやプロテイン強化など商品の多様化、環境配慮型パッケージの採用が広がると見込まれています。料理用途への拡大も今後の注目ポイントです。
オーツミルク初心者におすすめの情報は?
初めての方は、まずオーツミルクの基礎と栄養をチェックし、銘柄選びは7社比較ランキングが参考になります。